
国家資格:行政書士・土地家屋調査士。
専門分野:戸籍・相続人・銀行や不動産など相続手続全般。
職務経歴:開業後20年間、相続に必要な戸籍収集や相続人の調査確定など1000件以上の相続手続きを解決しています。
[行政書士 寺岡孝幸のプロフィール]

国家資格:行政書士・土地家屋調査士。
専門分野:戸籍・相続人・銀行や不動産など相続手続全般。
職務経歴:開業後20年間、相続に必要な戸籍収集や相続人の調査確定など1000件以上の相続手続きを解決しています。
[行政書士 寺岡孝幸のプロフィール]
「家族が亡くなった後、銀行口座はいつ凍結されてしまうのか?」
「口座が凍結されたら、お葬式代や生活費などは、どうやって下ろせばいいのか?」
身内が亡くなった直後、悲しみの中で直面するのが、
「お金(預貯金)が引き出せなくなる」という現実的な問題です。
多くの方が「役所に死亡届を出したら、すぐに銀行口座も凍結されてしまう」
と誤解していますが、実はそうではありません。
この記事では、銀行口座が凍結される正確なタイミングと、
凍結された口座から預貯金の引き出し方について、
相続専門の行政書士が、わかりやすく解説します。
この記事を読むことで、落ち着いて預貯金の相続手続きを進めることができます。
結論から申し上げますと、銀行口座が凍結されるタイミングは、
「銀行が、預金者の死亡の事実を知った瞬間」です。
金融機関は、口座名義人の死亡の事実を知ると、ただちに口座を凍結し、
一切の入出金ができないようにします。
銀行口座が凍結されるのは、遺産の預貯金が誰のものかがまだ確定していない段階で、
一部の相続人だけが、勝手にお金を引き出してしまうことを防ぐためです。
日本の法律上、預貯金は亡くなった瞬間に相続人全員の共有財産となるため、
金融機関は中立な立場から、「相続人全員の意思」や「遺産分割の結果」が分かるまで、
いったん入出金を止めておく必要があります。
凍結の対象になるのは、一般的に次のような金融商品です。
一方で、生命保険金や遺族年金など、
「受取人があらかじめ指定されているお金」は、
相続財産とは別枠で扱われるケースもあります。
どこまでが凍結対象か不安な場合は、
実際に取引している金融機関に、個別に確認しましょう。
最も多い誤解が、「市区町村の役所に死亡届を提出すると、
役所から銀行に連絡がいって、即座に口座が凍結される」というものです。
これは明確な間違いです。
日本の法律上、役所から民間の銀行に対して、
個人の死亡情報が、自動的に通知されるシステムは存在しません。
したがって、死亡届を出したその日に、
亡くなった方の口座のキャッシュカードが使えなくなることは、通常ありません。
では、銀行はいつ死亡の事実を知り、口座を凍結するのでしょうか。
主に以下の3つのルートがあります。
つまり、基本的には「ご家族が銀行に連絡を入れたタイミング」で、
亡くなった方の銀行口座は、入出金の停止の凍結をされることになります。
銀行が死亡の事実を把握し、口座が凍結状態になると、
預金の入出金や、引き落としなどの取引が、完全にストップします。
口座が凍結されると、以下のことができなくなります。
特に注意が必要なのが、自動引き落としです。
電気・ガス・水道などの公共料金や、
クレジットカードの支払いが引き落とせなくなると、
滞納扱いになってしまう恐れがあります。
そのため、口座の凍結手続きをする前に、
引き落とし口座を別の家族名義へ変更する手続きを、
行っておくことを強くおすすめします。
「すでに銀行に連絡してしまい、口座が凍結されて葬儀代が払えない…」
そんな場合でも焦る必要はありません。
現在では、法改正により、凍結後の口座からでも、
一部のお金を引き出せる制度が整っています。
凍結された預貯金からお金を出す方法としては、主に、
「預貯金の仮払い制度」と「相続人全員の同意による相続手続き」の2つがあります。
さらに、条件によっては、家庭裁判所を通じた仮払いが認められるケースもあります。
2019年の民法改正により創設されたのが、「預貯金の仮払い制度」です。
遺産分割前の払戻し制度とも呼ばれ、これにより、
相続人全員による遺産分割協議が終わる前であっても、
各相続人が単独で、一定額までの預貯金を引き出すことが可能になりました。
【引き出せる上限額の計算式】
死亡時の預金残高 × 1/3 × 払戻を求める共同相続人の法定相続分
(※ただし、1つの金融機関につき上限は150万円まで。民法第909条の2に基づく制度)
【必要書類】
この制度を利用して葬儀代を下ろすためには、以下の書類を銀行へ提出します。
・被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
・相続人全員の戸籍謄本
・手続きをする相続人の印鑑証明書と実印
・手続きをする相続人の本人確認書類
預貯金の仮払い制度を使えば、遺産分割協議書や、
他の相続人の同意が不要であるため、
最も現実的かつ迅速に、葬儀代などを準備できるベストな方法です。
ただ、葬儀費用や当面の生活費に充てる場合は、領収書を保管し、
他の相続人とも金額と用途を共有しておくと、
後々のトラブル防止につながります。
なお、この方法で払戻しを受けた場合、
その相続人は、遺産の一部の分割によって、
払戻しを受けた分の預貯金を取得したものとみなされます。
銀行との協議だけでは、払戻しに応じてもらえない場合や、
特に高額な医療費・介護費などが急ぎ必要な場合には、
家庭裁判所に対して「預貯金の仮払い」を申し立てる手続きも用意されています。
家庭裁判所経由の仮払いは、
手続きがやや複雑で時間もかかる一方、
他の相続人との意見がまとまっていない場面などで有効な選択肢となります。
仮払い制度の上限額(150万円)では、葬儀代や未払いの入院費が足りない場合は、
本来の「預貯金の相続手続き」を完了させて、全額を引き出すしかありません。
この場合は、「相続人全員の実印」と「印鑑証明書」、
もしあれば「遺産分割協議書」等が必要になります。
相続人間で揉め事がない場合は、速やかに書類を揃えて、
全額解約の相続手続きへ進むのが通例です。
なお、銀行の預貯金の相続手続きの流れや、必要書類などを確認したい方は、
「銀行の預貯金相続手続きの流れ!必要書類の一覧と解約までの期間」で、
くわしく解説しています。
もし、ゆうちょ銀行に亡くなった方の口座がある場合には、
「ゆうちょ銀行の相続手続きの全手順と必要書類を行政書士が解説」で、
ゆうちょ特有の手続きや、注意点も確認しておくと安心です。
「口座が凍結される前に、暗証番号を知っている家族が、
ATMで全額引き出してしまえばいいのでは?」と考える方も多いでしょう。
亡くなった直後や危篤の時に、キャッシュカードで葬儀代等の現金を引き出す行為は、
状況によっては法律上の問題になる可能性もありますが、
実務上は、直ちに刑事事件として扱われるケースは多くありません。
しかし、相続トラブルの最大の原因になるため極めて危険です。
他の相続人から「葬儀代と言っているが、本当は自分の懐に入れたのではないか?」
「勝手に遺産を使い込んだ」と疑われ、
取り返しのつかない泥沼の争いに発展するケースもあります。
そのため、 どうしても事前に引き出す場合は、
「引き出した現金の使い道を全て領収書で残し、
他の相続人に説明できるようにしておく」ことが絶対に必要です。
また、生前や死亡直後に多額の預貯金を引き出してしまうと、
後から相続放棄をしたい場合に不利に評価されたり、
他の相続人から「遺留分を侵害された」と主張されることもあります。
そのため、判断に迷う金額を動かす前には、
専門家へ相談することをおすすめします。
銀行などの相続手続きは、実際にやってみると、
「どこから手を付ければいいのか分からない」と感じる方がほとんどです。
また、平日の日中に役所や銀行の窓口へ何度か足を運び、
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本などを役所から集めて、
金融機関ごとに異なる相続手続き書類を、ミスなく仕上げる必要があります。
仕事や家事を抱えながら、精神的にも疲弊している遺族がすべて自分で行うには、
実際、あまりにも負担が大きく、かなりの時間と労力がかかる作業となります。
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「平日の日中に、役所や銀行に何度も行く時間がない」という方は、
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