
国家資格:行政書士・土地家屋調査士。
専門分野:戸籍・相続人・銀行や不動産など相続手続全般。
職務経歴:開業後20年間、相続に必要な戸籍収集や相続人の調査確定など1000件以上の相続手続きを解決しています。
[行政書士 寺岡孝幸のプロフィール]

国家資格:行政書士・土地家屋調査士。
専門分野:戸籍・相続人・銀行や不動産など相続手続全般。
職務経歴:開業後20年間、相続に必要な戸籍収集や相続人の調査確定など1000件以上の相続手続きを解決しています。
[行政書士 寺岡孝幸のプロフィール]
亡くなった方の銀行預金や不動産などの相続手続きを進めるために、
亡くなった方の出生から死亡までの「除籍謄本」や「改製原戸籍」を役所で請求したら、
「保存期間が経過したため、すでに廃棄されています」と言われて困っていませんか?

相続人を確定するためには、原則として、
被相続人(亡くなった方)の連続した戸籍がすべて必要です。
しかし、戸籍が廃棄されてしまっている場合、当然ながら取得することは不可能です。
だからといって、銀行預金の解約や不動産の名義変更などの相続手続きが、
できないわけではありません。
結論から申し上げますと、戸籍が廃棄されて取得できない場合は、
まず役所で「廃棄証明書(除籍等謄本を交付できない旨の証明)」を発行してもらい、
必要に応じて、相続人全員で「他に相続人がいない旨の上申書」を作成する方法が一般的です。
具体的にどの書類まで求められるかは、
法務局や銀行など手続き先によって取扱いが異なるため、
事前に確認しておくことが重要です。
本記事では、戸籍が廃棄されてしまう理由から、
廃棄されていた場合の必要書類と法務局・金融機関での具体的な手続きの流れまで、
相続専門の行政書士がわかりやすく解説します。
そもそも、なぜ公的な身分関係を証明する重要な記録であるはずの戸籍が、
役所で廃棄されてしまうのでしょうか?
その最大の原因は、戸籍法で定められていた保存期間の経過にあります。
現在、戸籍法施行規則第5条4項では、現在の除籍簿の保存期間について、
次のように定められています。
(戸籍法施行規則第5条4項)
戸籍法施行規則 第5条4項
除籍簿の保存期間は、当該年度の翌年から百五十年とする。
しかし、平成22年6月1日の戸籍法施行規則改正前は、
保存期間がわずか「80年」と定められていました。
つまり、法改正が行われる平成22年より前に、
すでに保存期間の80年を迎えてしまった古い戸籍については、当時のルールに従い、
役所で順次廃棄(破棄)されてしまっている可能性が高くなるのです。

とくに、明治時代や大正時代の古い「除籍謄本」や「改製原戸籍」などを、
相続手続きのために遡って取得しようとする際、
この保存期間による廃棄に直面するケースが多くなります。
ただし、市区町村の自治体によっては、保存期間を経過しても、
古い戸籍を、そのまま保管している役所もあるため、
実際に、役所に戸籍を請求してみないと、廃棄か現存かがわからない面があります。
なお、そもそも戸籍をどこまで遡って集めるべきかは、
「相続手続きの戸籍収集はどこまで必要?遡る範囲を完全解説」で、
くわしく解説しています。
保存期間の経過以外にも、役所で戸籍が取得できない理由が存在します。
それは、戦争による空襲(戦災)や、役所自体の火災、地震・津波などの天災によって、
戸籍の原本そのものが滅失・焼失してしまったケースです。

この場合も当然ながら、除籍謄本や改製原戸籍を発行することは不可能ですが、
決して相続の手続きを諦める必要はありません。
次に解説する「代替書類」を用いることで、
不動産や銀行などの相続手続きを進められるからです。
役所の窓口で「戸籍がありません」と口頭で言われた場合、
はいそうですかと、そのまま引き下がってはいけません。
法務局(相続登記)や銀行(預金解約)の相続手続きでは、
戸籍が足りない状態のままでは、手続きが進まなくなるからです。
そのため、欠けている戸籍の期間を埋めるために、
次の書類を用意することになります。
まず、該当する戸籍が存在しないことを公的に証明するために、役所の窓口で、
「廃棄証明書」(※自治体により、焼失証明書や告知書など名称が異なります)を、
発行してもらいます。


この証明書は、「対象の戸籍は、〇年〇月〇日に保存期間が経過したため廃棄した」
又は、「対象の戸籍は、〇年〇月〇日戦災で焼失した」という事実を、
市区町村長が公証する非常に重要な書類です。
役所の窓口で、口頭で「無い」と言われただけで帰宅するのではなく、
必ず書面で「廃棄証明書」又は「告知書」を請求して、取得してください。
これが、相続手続きを進めるための第一の鍵となります。
役所から廃棄証明書を取得しても、それだけでは、
その廃棄されてわからない期間に、
認知した子供や養子縁組をした子供がいなかったことの証明にはなりません。
そのため、相続手続き先によっては、役所の廃棄証明書や告知書だけでは、
「他にも相続人がいるのではないか?」と疑う所もあります。
その場合に作成するのが、「他に相続人はいない旨の上申書」です。

この上申書には、「現在判明している相続人が全員であり、
他に相続人は存在しないことを証明します。万が一、後日、
他の相続人が現れた場合は、私たちが誠実に対応することを誓約します。」
といった趣旨の内容を記載します。
そして、判明している法定相続人の全員が自筆で署名し、実印を押印して、
全員分の「印鑑証明書」の添付もすることになります。
「廃棄証明書」と「上申書」については、提出先である法務局や各金融機関によって、
若干の温度差や、独自のルールがあるため注意が必要です。
不動産の名義変更(相続登記)において、法務局は戸籍の連続性を審査します。

一部の戸籍が廃棄されている場合、
「現在取得できる範囲のすべての戸籍(除籍・原戸籍)」と「廃棄証明書」を、
セットで提出することで、相続登記は受理されます。
以前までは、一部の戸籍が廃棄されている場合には、「廃棄証明書」だけでなく、
相続人全員が署名・押印した「他に相続人はいない旨の上申書」も必要でした。
しかし、法務省民二第219号の法務省民事局長の通達により、
平成28年3月11日以降は、「除籍等の謄本を交付することができない」
旨の市町村長の証明書が提供されていれば、相続登記をして良いことになっています。
銀行、信用金庫、証券会社での口座解約手続きの場合、
金融機関ごとに対応が異なります。



メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行など)や、ゆうちょ銀行では、
法務局と同様に、「廃棄証明書または告知書」と、
「金融機関所定の相続届(相続人全員の署名・実印・印鑑証明書)」を提出すれば、
足りない戸籍の代わりとして、手続きを進めてくれることがほとんどです。
しかし、一部の金融機関では、独自のルールを設けている所もあり、
銀行専用の追加の確約書への署名を求められることがあります。
二度手間を防ぐためにも、戸籍が廃棄されていた事実が判明した時点で、
各金融機関の相続センターなどの相続担当部署へ、
廃棄又は焼失した戸籍がある場合、「廃棄証明書又は告知書で対応可能か」を、
直接電話で確認しておくのが良いと言えます。
戸籍が廃棄されているというイレギュラーな事態において、
手続きを頓挫させないための重要なポイントを解説します。
戸籍が廃棄されている場合でも、「現在取得できる戸籍については、
すべて取得する」ことが前提です。
法務局や銀行は、「本当にこれら以外に戸籍はないのか?調査不足ではないのか?」
という厳しい目を向けてきます。
たとえば、被相続人の戸籍が廃棄されていても、兄弟姉妹の戸籍や、
別の市区町村に転籍する前の戸籍を緻密に辿ることで、
間接的に身分関係を証明できるケースもあります。
こうした戸籍の徹底調査は、一般の方には負担が大きい作業です。
被相続人の「出生から死亡までの戸籍謄本」がどのようなものか、
実物イメージを確認したい方は、
「出生から死亡までの戸籍謄本の見本と見方」が参考になります。
また、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合の戸籍収集範囲については、
「兄弟姉妹・甥姪が相続人になる相続は過酷!
戸籍収集の範囲と膨大になる理由を行政書士が解説」 でくわしく説明しています。
取得できた戸籍の範囲で、誰が法定相続人になるのかを一目でわかるように、
「相続関係説明図」を正確に作成し、法務局や金融機関へ提出しましょう。
この図の中に「※昭和〇年~昭和〇年の間の戸籍は、保存期間経過により廃棄」
と注記を入れておくことで、金融機関の担当者や、登記官の理解が早まり、
手続きがストップするリスクを減らすことができます。
なお、相続人の中に長年連絡が取れていない方がいる場合や、
行方不明の相続人の住所調査が必要な場合には、
「行方不明の相続人の探し方!戸籍の附票から現住所を調べる手順と対処法」
が参考になります。
ここまで解説した通り、戸籍が廃棄されて取得できない事態に直面した場合、
一般の方がご自身で、役所から廃棄証明書又は告知書を取得したり、
金融機関などと直接交渉し、適切な上申書などを作成・手配するのは、
ある程度の知識が必要な上に、時間と労力も必要になります。
もし、上申書の作成が一ヶ所でも間違えれば、作り直しになる可能性もあるのです。
当行政書士事務所では、戸籍が廃棄の場合の相続手続きの解決実績も多数ございまして、
相続に必要な戸籍収集の代行や、銀行などの相続手続きの代行を、
20年以上、全国対応で行っております。
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