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法定相続分とは?民法の法定相続人の相続割合

2025 12/10
相続人
2023年6月13日2025年12月10日
この記事を監修した専門家
行政書士寺岡孝幸
行政書士 寺岡孝幸

国家資格:行政書士・土地家屋調査士。
専門分野:相続の戸籍収集・相続人調査・預金や不動産など相続手続全般。
職務経歴:開業後21年間、相続の戸籍収集や相続人調査、相続手続を代行。
解決実績:相続の戸籍収集、各種の相続手続き代行業務 1000件以上。
対応範囲:全国対応(戸籍収集・相続人調査・相続手続き代行)
 行政書士のプロフィールはこちら

法定相続分とは、遺言書で相続分の指定が無い場合に、
民法の定めに従って決定される法定相続人の相続割合のことです。

具体的には、民法900条1項~3項で、
各法定相続人の相続分が、次のように定められています。

【法定相続人】【相続割合】
子及び配偶者子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1
配偶者及び直系尊属配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1
配偶者及び兄弟姉妹配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1

もし、子、直系尊属、兄弟姉妹が数人いる場合には、
各自の相続分は等しいものとされています。(民法900条4項)

ただし、父母の一方のみが同じ異父母兄弟姉妹の相続分は、
父母の両方が同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1です。(民法900条4項)

上記はすべて、法定相続分の基本となりますが、
養子や非嫡出子がいる場合、兄弟姉妹のみの場合、
代襲相続人がいる場合、配偶者がいない場合などもあります。

そこでこの記事では、相続手続き業務を行っている行政書士が、
法定相続分について具体例を交えながらくわしく解説致します。

目次

子および配偶者が相続人の場合の法定相続分

子および配偶者が相続人の場合、
子の相続分と配偶者の相続分は、各2分の1となります。

そして、子が数人いる場合には、
各子の相続分は等しいものとされています。

次の例は、被相続人Aの相続人として、配偶者Bと、
子C、D、Eがいる場合の法定相続分です。

子及び配偶者が相続人の場合の法定相続分の例
(子及び配偶者が相続人の場合の法定相続分の例)

子全員の法定相続分は全体の2分の1で、
子が何人いても、各子の法定相続分は均等割りとなり、
配偶者の法定相続分は全体の2分の1です。

もし、子の中に養子(普通養子・特別養子)や、
非嫡出子(婚姻関係に無い男女の子)がいても、
子同士の相続分は同等になります。

ちなみに、平成25年12月10日以前までは、
非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1とされていました。

しかし、平成25年12月5日に民法の一部が改正され、
同年9月5日以後に開始した相続については新法が適用され、
非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分と同等になっています。

平成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました(同月11日公布・施行)。

引用元: 法務省:民法の一部が改正されました. (参照 2023-5-17)

配偶者および直系尊属が相続人の場合の法定相続分

配偶者および直系尊属が相続人の場合、
配偶者の相続分は全体の3分の2で、
直系尊属の相続分は全体の3分の1となります。

ちなみに、直系尊属というのは、
被相続人の父母、祖父母、曾祖父母のことです。

そして、直系尊属が数人いる場合には、
各直系尊属の相続分は等しいものとされています。

次の例は、被相続人Aに子や孫、ひ孫がいないため、
配偶者Bと、父C、母Dが相続人になる場合の法定相続分です。

直系尊属及び配偶者が相続人の場合の法定相続分の例
(直系尊属及び配偶者が相続人の場合の法定相続分の例)

もし、この例で、父Cがすでに亡くなっていれば、
配偶者Bと、母Dのみが相続人となり、
相続分としては、配偶者Bが3分の2,母Dが3分の1となります。

なお、直系尊属が相続人になる場合で注意が必要なのが、
被相続人に親等が近い者が優先されることです。

次の例では、被相続人Aの父母も祖父母も全員生きていますが、
この場合、相続人になるのは父母のみで、祖父母は相続人になりません。

被相続人に近い親等の直系尊属が優先される例
(被相続人に近い親等の直系尊属が優先される例)

なぜなら、被相続人の父母は1親等ですが、
祖父母は2親等で、親等が異なり、
直系尊属の間では、被相続人に親等が近い者が優先されるからです。

そのため、被相続人の父母が両方すでに亡くなっていて、
祖父母が生きている場合に、祖父母は相続人となり、
その場合、被相続人の配偶者の法定相続分は全体の3分の2で、
祖父母の法定相続分は全体の3分の1になります。

配偶者および兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続分

配偶者および兄弟姉妹が相続人の場合、
配偶者の相続分は全体の4分の3、
兄弟姉妹の相続分は全体の4分の1となります。

そして、兄弟姉妹が数人いる場合には、
各兄弟姉妹の相続分は等しいものとされています。

次の例は、被相続人Aに子や孫など直系卑属がいなくて、
父母や祖父母などの直系尊属も全員亡くなっていて、
配偶者Bと、父母が同じ兄弟姉妹C、Dがいる場合の法定相続分です。

配偶者及び兄弟姉妹が相続人の法定相続分の例
(配偶者及び兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続分の例)

ここで注意が必要なのは、兄弟姉妹が何人いても、
各兄弟姉妹の法定相続分は等しくなることです。(民法900条)

ただし、父母の片方のみが同じ半血兄弟姉妹の相続分は、
父母の両方が同じ全血兄弟姉妹の相続分の2分の1になります。

半血兄弟姉妹というのは、いわゆる異父兄弟姉妹や、
異母兄弟姉妹のことです。

民法第九百条

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

引用元: 民法 | e-Gov法令検索. 「民法第九百条」. (参照 2023-6-16)

次の例は、被相続人Aに子や孫など直系卑属がいなくて、
父母や祖父母などの直系尊属も全員亡くなっていて、
配偶者Bと、母が異なる異母兄弟Cと、
父母が同じ兄弟姉妹D、Eがいる場合の法定相続分です。

配偶者及び半血兄弟姉妹と全血兄弟姉妹が相続人の法定相続分の例
(配偶者及び半血兄弟姉妹と全血兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続分の例)

被相続人に配偶者なしの場合の法定相続分

被相続人に配偶者がいない場合の法定相続分は、
子が相続人になる場合、直系尊属が相続人になる場合、
兄弟姉妹が相続人になる場合で、次のような違いがあります。

【法定相続人】【相続割合】
子のみの場合子の相続分は全部。子が数人いる場合は、各自の相続分は等しい。
直系尊属のみの場合直系尊属の相続分は全部。直系尊属が数人いる場合は、各自の相続分は等しい。
兄弟姉妹のみの場合兄弟姉妹の相続分は全部。兄弟姉妹が数人いる場合は、各自の相続分は等しい。

代襲相続人(孫など直系卑属)の法定相続分

代襲相続人が孫など直系卑属の場合の相続分は、
その直系尊属(孫の親)の相続分と同じです。

もし、孫が数人いる場合には、
その直系尊属(孫の親)の相続分を等しく分けることになります。

このことは、民法第901条1項で定められています。

民法第901条

第887条第2項又は第3項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。

引用元: 民法第901条 – Wikibooks. (参照 2023-6-16)

次の例は、被相続人Aに、配偶者Bと、
子C、D、Eがいるが、Eは既に死亡しており、
Eの子(被相続人の孫)F、Gがいる場合の法定相続分です。

子と孫が相続人になる場合の法定相続分の例
(子と孫が相続人になる場合の法定相続分の例)

上記の場合で、もし、孫Fもすでに亡くなっていて、
孫Fに子(被相続人のひ孫)がいる場合は、
孫Fが受ける相続分と同じ相続分をひ孫が再代襲します。

代襲相続人(甥姪)の法定相続分

代襲相続人が甥または姪になる場合の相続分は、
その直系尊属(甥姪の親)の相続分と同じです。

もし、甥または姪が数人いる場合には、
その直系尊属(甥姪の親)の相続分を、
等しく分けることになります。

次の例は、被相続人Aに子や孫など直系卑属がいなくて、
父母や祖父母などの直系尊属も全員亡くなっており、
配偶者Bと、兄弟姉妹C、Dがいるけれど、Cは既に死亡しており、
Cには子(被相続人の甥姪)E、Fがいる場合の相続分です。

兄弟姉妹と甥姪が相続人になる場合の法定相続分の例
(兄弟姉妹と甥姪が相続人になる場合の法定相続分の例)

なお、被相続人の甥姪で既に亡くなっている人がいる場合、
さらにその子(被相続人の大甥や大姪)は、
代襲相続人にはならないので注意が必要です。

相続人の範囲と順位については、
「法定相続人の範囲と順位をわかりやすく解説!」で、
くわしく解説しています。

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