
行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)。
取扱い分野:相続人の調査確定や遺産相続手続き全般。
経歴:開業以来19年間、相続人調査業務及び相続手続き業務を行っています。
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「銀行預貯金などの相続で、被相続人という言葉が出たけど‥」
「被相続人とは誰のことなのかよくわからない」
「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類が必要になった」
「銀行預金等の相続手続きで、被相続人の記入が必要になった」
「父も母も亡くなっているけど、父と母のどちらが被相続人?」
この様な理由で、被相続人とは誰のことなのか正確に知りたい、
という人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、被相続人とは誰なのかがわかるように、
相続人の調査確定業務を行っている行政書士が、
被相続人の具体例も挙げて、わかりやすく解説致します。
この記事をすべて閲覧することで、被相続人は誰のことで、
どんな場合に、誰が被相続人になるのかも正確にわかります。
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記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。
被相続人とは誰のこと?
被相続人とは、亡くなった人のことです。
しかし、被相続人とは亡くなった人のことという説明だけでは、
被相続人とは誰のことなのかの答えの半分と言えます。
たしかに、人が亡くなり、相続が発生すると、
亡くなった人が被相続人となり、
相続する権利のある人が相続人となります。
しかし、亡くなった人が被相続人ということなら、
下記のように、家族の中でも亡くなっている人が複数いれば、
被相続人が常に何人もいることになり、
誰が被相続人なのかが、わからなくなります。
そこで、被相続人とは誰なのかを正確に知るためには、
被相続人とは、亡くなった人のことですが、それに加えて、
亡くなった人の内の誰の相続なのかという視点が必要になります。
たとえば、父はすでに亡くなっていて、
今回、母が亡くなり、母の相続についてということなら、
今回は母が被相続人ということになります。
この場合、父はすでに亡くなっていますが、
今回は、亡父の相続についてではないため、
今回の亡母の相続では、亡父は被相続人ではないということです。
逆に、母はすでに亡くなっていて、
今回、父が亡くなり、父の相続についてということなら、
今回は父が被相続人ということになります。
この場合、母はすでに亡くなっていますが、
今回は、亡母の相続についてではないため、
今回の亡父の相続では、亡母は被相続人ではないということです。
つまり、被相続人とは、亡くなった人の内で、
誰の相続についてのことなのかによって、
被相続人が誰なのかが決まるということです。
また、別の言い方をすれば、被相続人とは、亡くなった人で、
現金や預貯金、不動産などの財産や権利などを、
相続される人のこととも言えます。
逆に、亡くなった被相続人の現金や預貯金、
不動産などの財産や権利を相続する人のことは、
相続人というわけです。
被相続人とは、亡くなった人で、相続される人のこと
被相続人の被の意味は、されるという受け身の意味があります。
そのため、被相続人は、相続される人という意味になるのです。
逆に、亡くなった人の財産や権利を受け継ぐ人のことは、
相続する人という意味で、相続人です。
つまり、相続される人が被相続人で、
相続する人が相続人ということになります。
被相続人の具体例
被相続人が誰なのか正確にわかるように、
誰の財産についての相続なのかに分けて、
被相続人になる人の具体例をそれぞれ挙げてみます。
父または母の財産についての相続の被相続人は?
たとえば、父が亡くなり、母が生きているケースで、
亡父が残した預貯金や不動産などの相続手続きを行う場合には、
被相続人は、亡父ということになります。
子が相続放棄する場合でも、子がすでに亡くなっている場合で、
孫も相続人になる場合でも、亡父の財産についての相続なら、
亡父が被相続人となるのです。
逆に、母が亡くなり、父が生きているケースで、
亡母が残した預貯金や不動産などの相続手続きを行う場合には、
被相続人は、亡母ということになります。
つまり、相続人が誰になったとしても、
亡母の財産についての相続であれば、
亡母が被相続人になるのです。
子供の財産についての相続の被相続人は?
たとえば、子供が先に亡くなり、父や母が生きているケースで、
亡子供が残した預貯金や不動産などの相続手続きを行う場合には、
被相続人は、亡子供ということになります。
父又は母が相続放棄する場合も、父又は母が既に亡くなっていても、
亡子供が残した財産についての相続ということであれば、
被相続人は亡子供ということになるのです。
兄弟姉妹の財産についての相続の被相続人は?
たとえば、兄弟又は姉妹が亡くなり、
父母や祖父母もすでに亡くなっている場合、
亡兄弟又は亡姉妹の兄弟姉妹が相続人となります。
そして、亡兄弟又は亡姉妹が残した財産についての相続では、
被相続人は、亡兄弟又は亡姉妹ということになります。
亡くなったのが兄でも、弟でも、姉でも、妹でも、
その亡くなった兄弟姉妹の財産についての相続であれば、
被相続人は、亡くなった兄弟姉妹ということです。
叔父または叔母の財産についての相続の被相続人は?
たとえば、子供や孫のいない叔父又は叔母が亡くなり、
叔父又は叔母の両親や祖父母もすでに亡くなっていて、
叔父又は叔母の兄弟姉妹で亡くなっている人については、
亡叔父又は亡叔母の甥姪にあたる亡兄弟姉妹の子供が相続人となります。
そして、亡兄弟又は亡姉妹が残した財産についての相続なら、
被相続人は、亡兄弟又は亡姉妹ということになります。
被相続人と相続人の違い
被相続人と相続人の違いは、
相続される側の人が被相続人で、
相続する側の人は相続人という違いになります。
故人の財産や権利を受け継ぐ人は、
相続する人という意味で相続人と呼び、
財産や権利を受け継がれる人は、
相続される人という意味で被相続人となるのです。
そして、財産や権利を受け継がれる被相続人は通常1人ですが、
財産や権利を受け継ぐ相続人は、相続順位のある血族相続人と、
常に相続人になる配偶者がいるのです。
なお、相続人の範囲と順位については、
「法定相続人の範囲と順位をわかりやすく解説!」で、
くわしく解説しています。
被相続人が2人以上になる場合もある?
被相続人は、通常、1人なのですが、
被相続人の死亡後に、その相続人が亡くなった場合で、
被相続人の相続手続きが済んでいない物については、
亡くなった相続人は、相続人兼被相続人となります。
たとえば、父が亡くなり、父が残した財産の相続について、
母と子供が相続人の場合に、遺産分割がなかなかまとまらず、
亡父の財産の相続手続きが出来ない状態で、
相続人の1人の母も亡くなってしまった場合です。
この場合、亡母は、亡父の相続人ですが、
亡くなってしまったので、相続人兼被相続人となり、
子供が相続人となります。
これを、数次相続(すうじそうぞく)と呼んでいます。
この場合、亡父を被相続人とし、
亡母を相続人兼被相続人として、
亡父が残した財産の相続を進めることになるのです。